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コレクチム軟膏
野本真由美クリニック銀座
院長の野本真由美です。
電話番号は03-4405-5100です。
いつもご覧いただきありがとうございます。
今月末に発売予定のコレクチム軟膏。
アトピー性皮膚炎の待望の新しい外用剤です。
ステロイド、プロトピックに続き、3番目の塗り薬で、
日本が世界に先駆けて発売します!
コレクチム軟膏はJAK阻害剤です。
細胞の外から様々な刺激を細胞内に伝えるために働く酵素群をキナーゼといいます。
JAKはこのうちのひとつであるヤヌスキナーゼの略称で、
JAK阻害剤はこの酵素の働きを抑えて
炎症の原因となるサイトカインを抑制します。
日本皮膚科学会のガイドラインを読むと、
タクロリムスとの併用、シクロスポリン内服やデュピクセント注射との併用は、
医学データがないため、慎重に投与することと記載されています。
副作用についてですが、
ステロイドの血管拡張/皮膚の菲薄さや、タクロリムスの灼熱感などは起こりにくく、
第Ⅲ相臨床試験におけるコレクチム軟膏の副作用は
3.6%に毛包炎、3.2%にニキビ、4.5%に接触皮膚炎、その他少数にカポジ水痘様発疹症などが報告されています。
分子量が310と小さいので容易に皮膚に吸収されます。
添加されている物質は白色ワセリン、パラフィン、スクワランのみで超シンプル。
去年から臨床治験の論文を読みこんでいた私の中では、
「こうやって使おう」というイメージはもうできています。
JAK阻害剤は慢性関節リウマチの患者さんにすでに内服投与が行われていますが、
外用は世界で日本が初!です。
さすが、免疫大国です。
日本の医師だから、免疫には明るくいたいなあ。
ちなみにJAKという言葉。
1989年に発見されたときに、当時まだどのような機能があるかわからなかったことから
「Just another Kinase」(頭文字からJAK)と命名されたそうです。
その後、JAKの構造的特徴として、受容体に2つのドメインを持つことから
2つの顔を持つ古代ローマ神ヤヌスに因んで「Janus Kinase」と読み替えられたといわれています。
JAKという言葉、みなさん覚えてくださいね。